渡辺淳一氏死去 -追悼ー | にっけいしんぶん新聞

渡辺淳一氏死去 -追悼ー

恋愛小説 人の本質追求 -1面、社会面-

中高年の性愛を大胆に描いた「失楽園」などで知られる作家の渡辺淳一さんが4月30日、前立腺がんのため東京都内の自宅で死去しました。80歳でした。
初期は医療などをテーマにした社会派作品が多くありましたが、後年は大人の恋愛を描いた作品が話題を集めました。日本経済新聞で連載した「化身」や「失楽園」「愛の流刑地」はいずれもベストセラーになりました。

昨年の「私の履歴書」も楽しく拝読させていただき、まだまだお元気なんだろうと思っておりましたので驚いております。

「愛ルケ」では本当に楽しませていただきました。
本紙(本ブログ)の記事やコメント欄で読者の方とともに時に笑いつつ時に怒りつつ、時に厳しく時に生温かく、突っ込んだりネタを広げたり明らかに脱線したり、あんな盛り上がりは二度と経験できるものではないでしょう。
ありがたい経験をさせていただいたと感謝しております。

個人的に知るわけでなく、作品ですら日経連載以外ほとんど読んでもいないので、先生を評するのは難しいのですが、素人の記者(私)があれだけ突っ込んだのに、最後は自らのブログで温かく声をかけてトラックバックまで貼り付けるという見事な切り返しをなされたことは、ただの「鈍感力」ではなくスケールの大きさの表れだったのではと思っております。

心よりご冥福をお祈りするとともに、最後に日経社会面に載っている文芸評論家の川西政明さんの話を「突っ込まずに引用」することで、「黙祷」がわりの本紙(本ブログ)並びに記者(私)の追悼の意の表現とさせていただきます。

「誰も追随できず」
文芸評論家、川西政明さんの話
医学や歴史、恋愛など、扱うテーマの幅を広げ、50年近く流行作家であり続けた。貪欲に取材し、レベルを落とさずに書き抜き、駄作と呼ぶ作品がほとんどない。性愛を扱っていても低俗にならず、広く受け入れられる土壌をつくったが、批判も浴び大変な苦労だったはずだ。恋愛の理想を表現したのが「失楽園」や「愛の流刑地」。作品の多くは自らの経験をもとにした、いわば私小説で、まねをしようとしても誰も追随できない。