電柱の美、天井知らず -絶縁しない夢- | にっけいしんぶん新聞

電柱の美、天井知らず -絶縁しない夢-

須賀ちゃん◇3歳から碍子を見上げて高3に、夢は電気工事士◇須賀亮行 -44面-

電柱がたまらなく好きだ。そう言うと、多くの人は「灰色の柱の何が面白いの?」と誤解する。
違うのだ。僕が愛するのは電柱上部、電線を固定する絶縁体の碍子がある辺り。作られた年代や地域によって形状が異なる。14年間で約1万本を観察、変わった電柱をカメラなどで記録するのが日々の生きがいだ。


またまた出てきましたよ。
いったいどっからこの人を見つけてきたんだ?という地味でかつ強烈な人物が。

いいっすねー。
3歳にして碍子にハマる、素晴らしいですよ。
そのまま大きくなって高校生、将来の夢は電気工事士。
立派です。
写真にはすでに若干高校生離れした風格すら漂います。

いや記者が彼の記事に惹かれた訳は、別に風貌が高校生離れしてるからだとか、あるいはまたしてもどっから見つけてきたのか不明だからだとか、ただ話が超マニアックだからとかではなく、「碍子」というジャンルがけっこうツボだったからなのです。

記者は電柱にはそれほど惹かれたことはありませんが、もっと大きな「鉄塔」には実は子どものころから興味があって、当時住んでいた神戸の六甲山の山腹を縫う鉄塔線をよく窓から眺めていたのです。
その際、当時は名前も知らなかった「碍子」を見ながら、「あのつぶつぶはいったいなんやろう」などといつも思っていたものです。

そういえば、鉄塔のあの形、頭があって腕を広げて2足で立つように見えなくもない形がなんともロボットのように見えて、あいつは有事の際には電線を切り離して飛び立ち、攻めてきた敵と闘うのでは、などと夢想したりしたこともありました。
馬鹿げてますけど、子どもの夢想ですからね、かわいいもんですよ。
「そうか今にして考えるとあの電線は実はアンビリカルケーブルのモデルで庵野監督も鉄塔からイメージしてエヴァンゲリオンを描いたのかもしれない」などとオトナになったいま夢想していたりすると恥ずかしいですけどね。

いや、いまのオトナの夢想はネタですけど、けど今でも鉄塔線を眺めてはロマンを感じることはしばしばあるのです。
関東近県の視界の開けた田園地帯なんかに遥かに続く鉄塔線。
遠くの発電所から送られる電力が大都会トーキョーの生活や産業を支えていることを考えると、あそこに流れてるのはただの電気じゃない、人々の生活の源なんだ、なんていうなんか壮大な気になりません?
そうでなくても鉄塔線の風景、なんだかかっこいいと思いません?
え?
美観を損ねてるだけですか?
そんなことないですよ。
最近はとうとうケータイで写メまで撮るようになっちゃったんですけど、ほら、こんなんですよ?
雄大でしょ?

$にっけいしんぶん新聞-20100410085226.jpg

それとかこれなんかイケてるよね

$にっけいしんぶん新聞-20100425095507.jpg

あと、こんなの超クール!

$にっけいしんぶん新聞-20100425095417.jpg

・・・ええ、引く人がいたとしてもかまいませんよ。
所詮ひとの趣味なんてそんなもんです。

まあこんな記者じゃなくても、彼の将来、まったくの他人なのに気になっちゃいますよね。
電気工事士になってもならなくても、就活はいろいろまわるだけで楽しそうですよ。
碍子を手に入れたくて1年半も駆けずり回った話、苦労して手に入れたピン碍子を毎日眺めて癒されてる話など、超マニアックな逸話がいくつか載っていましたが、企業側もきっと興味を持って話を聞くことでしょう。
記者、長年の株屋生活の悪い癖でとっさに「電柱関連企業」を思い浮かべてしまいましたよ。

電線の工事といえば関電工。
電柱といえば東京電力。
なにより碍子といえば碍子世界一の日本碍子。
意表をついて高所作業車のアイチコーポレーション、なんてのもありかもしれません。

いやいや、そんな就活とか電柱関連企業なんてレベルで彼の将来を云々いうのは失礼ですね。
なんせ彼の「今は不可能だが、いつかは」と夢想しているという究極の夢は、電気工事士として電柱を点検・修理することにとどまらず、「家の庭に自分の手で“マイ電柱”を立てる」ことだというのですから。

見てみたいですねえ、彼が自宅に立てるマイ電柱。
ぜひとも彼にはその夢を叶えていただきたいものです。

記者の夢想、「マイ鉄塔(しかもロボット)」が叶わない分まで・・・。